WebPita Labo

2026-08-31

AIO向けコーディングは本当に有効か

AIO向けコーディングを実測する

AIO/GEOに関する解説では、JSON-LD(構造化データ)やFAQ、 HTMLの構造化などが、AIによる情報認識や引用に有効であると 紹介されることがあります。

しかし、GoogleやOpenAIの公式資料では、 特定のJSON-LDやFAQなどを実装することで、 AIによる情報認識率や引用率が向上すると保証しているわけではありません。

そこでWebPitaでは、 「AIに読みやすいとされるコーディング」と 「AIが実際にそのページの情報を認識すること」は同じなのか を確認するため、条件を変えた4ページに固有識別子を設定し、 2026年8月の1か月間、 Google検索、Google AI Overviews、Gemini、ChatGPTでの認識状況と、 AIによるWeb訪問を継続観測しました。


本実測調査のサマリー

事実1:AIO向けコーディングによる認識率の優位性は確認されず
AIO向け要素を積極的に採用していないページでもAIによる認識が確認され、 今回の実測では、AIO向けコーディングによる明確な優位性は確認できませんでした。

事実2:「AIによるWeb訪問」と「AIによる情報認識」は別現象
AIがページを訪問することと、その情報が検索・回答時に認識されることは一致しませんでした。

結論:AIO向けコーディングは「魔法の特効薬」ではない
今回の実測では、AIO向けコーディングだけでAIの認識状況を説明することはできませんでした。 検索エンジンへの適切なインデックスを前提とし、 コンテンツそのものの内容やテーマなど、コーディング以外の要因も含めて考える必要があります。

観測方法

今回の調査では4つのWebページを対象としました。 そのうち2ページには、AIO/GEO対策として紹介される JSON-LD、FAQ、HTML構造などの要素を積極的に採用しました。 残る2ページでは、それらの要素を積極的には採用しない構成としました。

それぞれのページには、 通常の検索キーワードとして意味を持たない固有識別子を掲載しました。

区分 識別子 対象ページ URL
AIO向け要素を積極的に採用した構成 WP-AI-20260729-001-AA01 文部科学省 AIガイドライン関連 mext_ai_guideline.html
AIO向け要素を積極的に採用した構成 WP-AI-20260729-001-BB02 東京都 学校AIガイドライン関連 tokyo_school_ai_guideline.html
AIO向け要素を積極的に採用しない構成 WP-AI-20260729-001-CC03 総務省・NVIDIA AI-RAN関連 soumu_nvidia_ai_ran.html
AIO向け要素を積極的に採用しない構成 WP-AI-20260729-001-DD04 デジタル庁「源内」生成AI利用実績 digital_agency_gennai.html

認識の確認方法

2026年8月1日から8月31日まで一定間隔で、 各識別子についてGoogle検索、Google AI Overviews、 Gemini、ChatGPTで確認しました。

確認は、過去の検索履歴やログイン状態などによる パーソナライズの影響をできるだけ抑えるため、 ブラウザのシークレットモードを使用して実施しました。

各サービスに固有識別子を入力し、 対象ページまたはそのページに掲載された情報を 識別子から特定できた場合を「認識あり」、 確認できなかった場合を「認識なし」として記録しました。

対象とした4ページは、 2026年8月2日までにすべてGoogle検索への インデックスを確認しています。 したがって、8月2日以降は4ページすべてが Google検索にインデックスされた状態で観測しています。

なお、シークレットモードを使用しても、 IPアドレスや地域、各サービスの情報取得・更新、 検索結果の変動などを完全に統一することはできません。 そのため本調査では、一度だけの結果ではなく、 同じ方法による継続観測から傾向を見ることを目的としています。

AIによるWeb訪問も別途観測

WebPitaでは、Webサーバーのアクセスログから ChatGPTやGeminiなどのAI関連アクセスについても観測しています。 そのため今回の調査では、 「AIが対象ページを訪問したか」と、 「AIがそのページ内の固有情報を認識したか」 を別々の現象として記録しました。

AI関連のアクセスが確認されたことだけを 「AIに認識された」とは判定せず、 実際に各サービスへ識別子を問い合わせた結果を 認識判定に使用しています。

観測結果1.WebPitaで観測したAIのWeb訪問

WebPitaのアクセスログから、 ChatGPTとGeminiが実験対象ページへ 実際にアクセスした回数を観測しました。

2026年8月1日から8月30日までに、 今回の4つの実験対象ページへ ChatGPT 45件、Gemini 9件、合計54件 のAI関連訪問を確認しました。 なお、「AI政策・ガイドライン記事一覧」へのChatGPTによる5件を含めると、 期間中のAI関連訪問は合計59件でした。

実験対象ページ別のAI訪問数

識別子 対象ページ ChatGPT
訪問数
Gemini
訪問数
訪問数合計
AA01 文部科学省 生成AI利用ガイドライン
※AIO向け要素を積極的に採用した構成
15 2 17
BB02 東京都 都立学校生成AI利活用ガイドライン
※AIO向け要素を積極的に採用した構成
10 5 15
CC03 総務省×NVIDIA 6G・AI RAN国際協力
※AIO向け要素を積極的に採用しない構成
12 2 14
DD04 デジタル庁「源内」生成AI利用実績
※AIO向け要素を積極的に採用しない構成
8 0 8
4ページ合計 45 9 54

※WebPitaの訪問ランキング画面に表示された件数を集計。 ChatGPTではこのほか「AI政策・ガイドライン記事一覧(/contents/)」への 5件の訪問を確認しています。

観測結果2.識別子の認識状況

2026年8月1日~8月31日の観測結果です。
各識別子をGoogle検索、Google AI Overviews、 Gemini、ChatGPTに入力し、 識別子を認識しているかを確認しました。
○は「認識」、×は「認識せず」を示します。

観測日 AA01
AIO向け要素を積極的に採用
BB02
AIO向け要素を積極的に採用
CC03
AIO向け要素を積極的に採用せず
DD04
AIO向け要素を積極的に採用せず
Google検索 Google AIO Gemini ChatGPT Google検索 Google AIO Gemini ChatGPT Google検索 Google AIO Gemini ChatGPT Google検索 Google AIO Gemini ChatGPT
08/01 ××× ×××× ××× ××××
08/03 × ×××× ×× ××××
08/07 ×××× ×××× ×××× ××××
08/10 ×××× ××
08/14 ××× ×××× ×× ×××
08/17 ××× ×××× × ××
08/21 ×× ×××× × ×××
08/24 × ×××× ×× ××××
08/28 ×× ×××× × ××××
08/31 × ×××× × ××

観測期間は2026/08/01~08/31です。 4ページはいずれも08/02までに Google検索へのインデックスを確認しています。

AIO向け要素を採用した構成の優位性は確認できなかった

今回の観測で特徴的だったのが「BB02」と「CC03」です。

BB02はAIO向け要素を積極的に採用したページですが、 Google検索、Google AI Overviews、Gemini、ChatGPTの すべてで認識0回でした。

一方、AIO向け要素を積極的に採用しなかったCC03は、 Google検索で8回、 Google AI Overviewsで8回、 Geminiで4回、 ChatGPTで3回認識されました。

2グループで比較

条件 Google検索 Google AIO Gemini ChatGPT
AIO向け要素を積極的に採用した2ページ 35.0% 35.0% 15.0% 15.0%
AIO向け要素を積極的に採用しない2ページ 50.0% 55.0% 25.0% 25.0%

今回の観測では、4つの確認対象すべてにおいて、 AIO向け要素を積極的に採用しなかったページ群の方が 高い認識率となりました。

もちろん、この結果から 「AIO向け要素を採用しない方が有効である」 と判断することはできません。 一方で、 「AIO向けとされるコーディングを行えば、 AIによる情報認識率が上昇する」 という傾向も、今回の実測では確認できませんでした。

AIが訪問しても、情報を認識するとは限らない

訪問数と識別子の認識結果を重ねると、 さらに興味深い違いが見えます。

特に注目したいのはBB02です。 BB02にはChatGPT 10件、Gemini 5件、合計15件 の訪問が確認されているにもかかわらず、 1か月の識別子認識はGoogle検索、Google AI Overviews、 Gemini、ChatGPTのすべてで0回でした。

一方、CC03は ChatGPT 12件、Gemini 2件、合計14件 とBB02とほぼ同程度のAI訪問数ですが、 識別子はGoogle検索で8回、 Google AI Overviewsで8回、 Geminiで4回、 ChatGPTで3回認識されています。

つまり今回のWebPita観測では、 「AIによる訪問数が多いほど、 そのページ内の固有情報が認識されやすい」 という単純な関係も確認できませんでした。 AIがWebページを訪問することと、 そのページ内の情報が検索・回答時に認識されることは、 分けて評価する必要があります。

Googleの公式見解

Googleは、Google検索の生成AI機能 (AI OverviewsやAI Mode)について、 従来のSEOの基本的なベストプラクティスが引き続き有効であり、 AI機能へ掲載されるための追加の技術要件や 特別な最適化は必要ないと説明しています。

また、生成AI検索では構造化データは必須ではなく、 特別なschema.orgマークアップを追加する必要もないと明記しています。 ただし、通常のGoogle検索でリッチリザルトの対象となるために、 構造化データをSEO全体の一部として利用することは 引き続き推奨しています。

Google公式「AI機能とウェブサイト」

Google公式「Google検索の生成AI機能向けにウェブサイトを最適化する」

Geminiに関するGoogleの公式情報

GeminiについてGoogleは、 Google-Extendedというrobots.txt用の プロダクトトークンを提供しています。 これは、Googleがクロールしたサイトのコンテンツを、 将来のGeminiモデルの学習や、 Gemini AppsなどでのGoogle検索によるグラウンディングに 利用するかどうかをサイト運営者が管理するためのものです。

Googleは同時に、Google-Extendedは Google検索への掲載には影響せず、 Google検索のランキングシグナルとしても 使用しないと説明しています。

今回確認したGoogle公式資料では、 JSON-LDやFAQなど特定のWebコーディングを行うことで、 GeminiアプリによるWebページの情報認識率が向上する という公式な説明は確認できませんでした。

Google公式「Googleの一般的なクローラー / Google-Extended」

ChatGPTに関するOpenAIの公式見解

OpenAIは、WebサイトをChatGPT Searchの検索対象にするためには、 OAI-SearchBotによるクロールを許可すること が重要だと説明しています。 また、サイトホストやCDNがOpenAIの公開済みSearchBot IPアドレスからのアクセスを許可するよう案内しています。

ChatGPT Searchの順位については、 関連性や信頼性など複数の要因を使用しており、 上位表示は保証されないとしています。

今回確認したOpenAI公式資料では、 JSON-LD、FAQPage、Articleなど特定の構造化データを 追加することで、ChatGPTによる情報認識率や引用率が 向上するという記載は確認できませんでした。

一方、ChatGPT AgentがWebサイトを理解・操作する目的については、 OpenAIはARIAのrole、label、stateなど アクセシビリティ上のベストプラクティスを推奨しています。

OpenAI公式「ChatGPT Search」

OpenAI公式「パブリッシャーと開発者 FAQ」

現時点での結論

今回の調査は4ページを対象とした 2026年8月1日~8月31日の観測であり、 コーディング以外の条件を完全に統一した比較実験ではありません。 4ページはいずれも8月2日までにGoogle検索への インデックスを確認していますが、 ページごとにテーマや情報量は異なり、 各AIサービス側の情報取得・更新状況まで 統一することはできません。

したがって、この結果だけをもって 「JSON-LDやFAQはAIOに効果がない」 と断定することはできません。

しかし少なくとも今回の実測では、 「AIO向けとされるコーディングを施せば、 AIがそのページの情報を認識しやすくなる」 という傾向は確認できませんでした。

むしろ、AIO向け要素を積極的に採用しなかったページの一つが、 今回の4ページの中で最も高い認識率を示しました。

今回の結果からは、 AIによるWeb情報の認識には、 単純なコーディング方式だけでは説明できない 別の要因が大きく影響している可能性があります。

「AIがページを訪問すること」 「検索エンジンがページをインデックスすること」 「AIがそのページ内の情報を認識すること」 は、それぞれ分けて考える必要がありそうです。

本調査は今後も継続して観測します。

付録:他者による観測・調査

SchemaやJSON-LDとAI検索・AI回答の関係については、 WebPita以外でも複数の調査が行われています。 調査方法や対象は異なりますが、今回の観測結果と関連するものを紹介します。

1.Ahrefs ― Schema追加1,885ページを追跡

Ahrefsは、JSON-LD Schemaを新たに追加した1,885ページと 約4,000ページの対照群を比較し、 Google AI Overviews、Google AI Mode、ChatGPTでの引用数を追跡しました。

サービス Schema追加群の相対的な変化
Google AI Overviews -4.6%
Google AI Mode +2.4%
ChatGPT +2.2%

Schema追加によってAIからの引用が明確に増加したとは確認できなかったと報告しています。

Ahrefs「We Tracked 1,885 Pages Adding Schema. AI Citations Barely Moved.」

2.searchVIU ― JSON-LDだけの情報をAIは取得するか

searchVIUは、同じテストページの可視HTML、JavaScript、 JSON-LD、Microdata、RDFaなどに異なる情報を配置し、 複数のAIサービスで認識状況を調査しました。

Direct Fetchを中心としたテストでは、 JSON-LDだけに存在する情報は認識されず、 可視HTMLに記載された情報は認識されました。 ただし、検索インデックスや学習段階でのSchema利用まで 否定する実験ではありません。

searchVIU「Schema Markup and AI in 2025: What ChatGPT, Claude, Perplexity & Gemini Really See」

3.Schemaに有利な相関を報告した調査もある

Digital Appliedは1,000件のGoogle AI Overviewsを分析し、 Schemaを持つページは、持たない比較対象より 2.3倍多く引用されたという相関を報告しています。

ただし、これはSchema追加前後を比較した実験ではないため、 Schemaそのものが引用増加の原因であるかは、この結果だけでは判断できません。

Digital Applied「1,000 AI Overviews Analyzed: Citation Pattern Study」


外部調査との比較

調査 方法 主な結果
WebPita 4ページを1か月継続観測 AIO向け要素を採用した構成の認識率向上を確認できず
Ahrefs Schema追加群と対照群を追跡 AI引用の明確な増加なし
searchVIU 同一ページで情報掲載方式を比較 Direct FetchではJSON-LDのみの情報を認識せず
Digital Applied 1,000件のAIOを分析 Schemaありページに多く引用される相関

外部調査ではSchemaに有利な相関を示す結果もありますが、 「Schemaを追加すれば、それが原因となってAIによる認識や引用が増える」 という因果関係は、現時点では明確ではありません。 今回のWebPitaの観測結果も、 単純な「AIO向けコーディング=AI認識率向上」という関係を 支持するものではありませんでした。

AIアクセス解析ツールで何が見えるのか?

WebPita AI Console for ChatGPT

WebPita Laboの掲載方針

WebPita Laboは、Webサーバーログ等から確認できた観測事実を中心に掲載し、推測・意見・断定的な解釈は可能な限り記載しません。