結論
WebPitaで観測している2つのサイトを比較したところ、Gemini系AI訪問数は必ずしも閲覧数に比例しないことが確認された。
観測期間中、エネルギー業界団体広報サイトは、土木系写真サイトよりもWeb訪問数が大きく上回っていた。
しかし、Gemini系AI訪問数では、土木系写真サイトがエネルギー業界団体広報サイトを上回った。
土木系写真サイトのWeb訪問数は、エネルギー業界団体広報サイトの約24.5%にとどまった。一方で、Gemini系AI訪問数は約121.7%となり、通常のWeb訪問数とは逆転した。
この結果から、Gemini系AI訪問は、単にWeb訪問数の多いサイトへ多く発生しているのではなく、情報取得や回答生成に使いやすい情報、記録性の高い情報、テーマが明確なコンテンツに反応している可能性がある。
集計結果
Gemini系AI訪問数は両サイトとも2,000件台で近い水準だった。
一方、Web訪問数には大きな差があり、今回の観測では、Gemini系AI訪問数が閲覧数と単純には比例していないことを確認した。
以下は、観測期間全体の集計結果である。
観測期間:2026年5月1日〜2026年6月30日
| サイト種別 | Web訪問数 | Gemini系AI訪問数 |
|---|---|---|
| エネルギー業界団体広報サイト | 1,051,882 | 2,022 |
| 土木系写真サイト | 258,036 | 2,460 |
Web訪問数ではエネルギー業界団体広報サイトが大きく上回った。一方で、Gemini系AI訪問数では土木系写真サイトが上回った。
Gemini系AI訪問率も、エネルギー業界団体広報サイトの0.19%に対し、土木系写真サイトは0.95%となった。
Web訪問数とGemini系AI訪問数の比較
エネルギー業界団体広報サイトを100とした指数比較。
Gemini系AI訪問数のグラフでは、最大値が121.7となるため、棒の長さはグラフ内の最大値を基準に表示している。
考察
今回の観測では、Web訪問数が多いサイトほどGemini系AI訪問数も多くなる、という単純な関係は確認されなかった。
エネルギー業界団体広報サイトは、土木系写真サイトよりもWeb訪問数が大きく上回っていた。しかし、Gemini系AI訪問数およびGemini系AI訪問率では、土木系写真サイトが上回った。
この結果から、Gemini系AI訪問は通常のWeb訪問数とは異なる要因で発生している可能性がある。
通常のWeb訪問数は、知名度、検索順位、リピーター、会員利用、SNS流入、広告、業務上の利用などに影響される。一方でGemini系AI訪問は、AIが回答生成や情報取得を行う際に参照しやすい情報、記録性の高い情報、テーマが明確なコンテンツに反応している可能性がある。
特に土木系写真サイトは、通常の閲覧規模ではエネルギー業界団体広報サイトを下回っていたが、Gemini系AI訪問数では上回った。このことは、写真・資料・記録性のあるコンテンツが、人間の閲覧数とは別にGemini系AIから参照される可能性を示している。
以上の結果から、AI時代のWeb評価では、従来のPVやWeb訪問数だけではサイトの価値を判断できない可能性がある。今後は、人間の閲覧数とは別に、AIがどのような情報を取得し、どのようなサイトを訪問しているのかを観測することが重要になる。
半月単位の集計データ
以下は、観測期間を半月単位に分割した集計データである。特定日の一時的な増減ではなく、期間全体の傾向を確認するために掲載する。
| 期間 | サイト種別 | Web訪問数 | Gemini系AI訪問数 | Gemini系AI訪問率 |
|---|---|---|---|---|
| 5/1〜5/15 | エネルギー業界団体広報サイト | 328,921 | 334 | 0.10% |
| 5/1〜5/15 | 土木系写真サイト | 49,986 | 279 | 0.56% |
| 5/16〜5/31 | エネルギー業界団体広報サイト | 235,834 | 742 | 0.31% |
| 5/16〜5/31 | 土木系写真サイト | 66,969 | 898 | 1.34% |
| 6/1〜6/15 | エネルギー業界団体広報サイト | 266,905 | 455 | 0.17% |
| 6/1〜6/15 | 土木系写真サイト | 60,183 | 529 | 0.88% |
| 6/16〜6/30 | エネルギー業界団体広報サイト | 220,222 | 491 | 0.22% |
| 6/16〜6/30 | 土木系写真サイト | 80,898 | 754 | 0.93% |
観測条件
WebPitaでは、AI関連アクセスをアクセスログから判定し、AIまたはAI経由ユーザーによる「ページ閲覧」に近いアクセスを中心に解析している。
本レポートでは、Gemini系AI訪問として判定したアクセスを集計対象とした。
主な判定材料は以下の通りである。
- Gemini / Google関連アクセス情報
- User-Agent
- HTTP_REFERER
- ISP / ASN判定
- アクセスURLおよびアクセス挙動
観測対象ログ
Gemini系AIによる「ページ閲覧」に近いアクセスを中心に解析している。
- HTTPステータスが 200 / 206 / 304 のアクセス
- html / php / pdf ファイルおよびフォルダURLへのアクセス
- 観測除外対象:画像ファイル、CSS、JavaScript、リダイレクトアクセス、404エラー
注意点
本レポートは、WebPitaで観測可能な2サイトのアクセスログを比較したものであり、すべてのWebサイトに同じ傾向が当てはまることを示すものではない。
また、Gemini系AI訪問数は観測時点の判定条件に基づくものであり、各AIサービスの仕様変更やアクセス方法の変更により、今後変化する可能性がある。
本レポートは、観測されたアクセスログに基づく比較であり、GoogleまたはGeminiの内部仕様や評価基準を示すものではない。
OpenAI系AI訪問、Google検索+Overview、Gemini+Appなどの検索・ユーザー流入系アクセスは、本レポートのGemini系AI訪問数には含めていない。
今後の観測
今回の観測では、Gemini系AI訪問数が通常のWeb訪問数に単純比例しない事例を確認した。
今後は、対象サイト数を増やし、業種・コンテンツ種類・ページ構成ごとにGemini系AI訪問の傾向を比較していく。また、AIサービスごとの訪問傾向に違いがあるかについても、継続して観測する。
AI時代のWeb評価では、従来のPVや閲覧数とは別に、AIがどのような情報を取得しているのかを把握することが重要になる。